みらいJOY株式会社
manual.html 不動産売却依頼時の初動調査および仕入れ戦略マニュアル

不動産売却依頼時の初動調査および仕入れ戦略マニュアル

このマニュアルは、フランチャイズ展開を行う不動産会社「みらいJOY」の加盟店営業担当者(新人を含む)が、不動産売却依頼を受けた際の初動調査から仕入れ戦略の決定までを円滑に進めるための指針を提供します。事務的、論理的、かつ専門的な視点から、必要な書類、取得先、判断基準、実例を詳細に解説し、実務における判断力を養うことを目的とします。

■第1章:売却意向受領時の初動対応(必要書類の収集)

売却の意向を受けたら、迅速に事実確認を行うための書類収集を開始します。以下の書類を各窓口で取得してください。

1. ネット・法務局で取得するもの

  • 土地・建物の全部事項証明書(登記簿謄本):権利関係の確認を行います。特に「共同担保目録」は私道持分等の手がかりになるため、必ず確認してください。
  • 公図:隣地との位置関係、前面道路の地番特定に用います。
  • 地積測量図・建物図面:境界の有無、正確な面積の把握に必要です。

2. 役所(窓口またはWEB)で取得するもの

  • 都市計画図:用途地域、建ぺい率、容積率を確認し、建築可能なボリュームを算出します。
  • 道路査定図・道路位置指定図:前面道路の建築基準法上の種別、指定幅員を確認します。
  • 上下水道埋設管図・ガス管図:本管の通る位置、敷地内への引き込み状況を確認します。私道の場合は掘削承諾の要否に関わるため、特に注意が必要です。
  • 建築確認済証・検査済証等の台帳記載事項証明:既存建物の適法性を確認します。
  • ハザードマップ:水害・土砂災害等のリスクを確認します。これは重要事項説明に必須の項目です。

■第2章:相場調査と買取金額の査定依頼

取得した書類をもとに物件の適法なスペックを確定させた後、適正価格を割り出します。

1. 相場調査

  • レインズ:実際の成約事例を確認します。特に近隣の新築建売の成約価格から土地の仕入れ値を逆算する手法が有効です。
  • SUUMO、at home、LIFULL HOME'S:現在の競合売り出し物件を確認します。
  • AI査定:参考値として算出しますが、古家解体費や越境是正費用などの個別要因は反映されないため、最終判断は営業担当者の知見で行うことが重要です。

2. 買取業者(建売業者等)への机上査定依頼

  • 相場感を掴んだ段階で、複数の買取業者へ打診します。
  • 【重要事項】売主の希望価格は絶対に業者に伝えないでください。足元を見られる原因となるため、物件のスペックのみを伝え、業者の「買取上限額」を引き出すことに徹します。

■第3章:出口戦略の決定と売主へのフォロー

業者の査定結果をもとに、利益を最大化する出口戦略を決定します。

1. 戦略の分岐

  • 自社買取(業者卸し):業者の提示額が売主の希望額を大きく上回る場合。自社で売主から買い取り、業者へ転売することで仲介手数料以上の利益(利ざや)を獲得します。その際、提携する信用金庫等へ事業性融資の打診を並行して行うこと。
  • 業者への買取仲介:資金調達の観点等から自社買取を見送る場合。早期かつ確実に仲介手数料を確保します。
  • エンドユーザーへの仲介:業者目線が伸びない場合、ポータルサイト等を通じて一般の買主を探します。

2. 売主との密なコミュニケーション

  • 調査の進捗や資料手配の状況を売主にこまめに報告し、「あなたのために動いている」という姿勢を示すこと。これにより信頼関係を構築し、他社への案件流出(抜き行為)を防止します。

■第4章:【実例解説】さいたま市浦和区皇山町物件のケーススタディ

上記の手順で、見かけ上の「再建築不可物件」を「優良物件」へと転換させた実際の実例です。営業担当者はこの事例を熟読し、調査の重要性を理解してください。

物件概要

項目 内容
所在地 さいたま市浦和区皇山町1083-14
土地面積 63.52平米(約19坪)
建物 築約54年の空き家
売主希望価格 1,300万円

初期懸念

AI査定や地図上の概測では前面道路幅員が約3mと判定され、再建築不可(相場500万円台)のリスクが懸念されました。

調査結果1(道路種別と越境の特定)

役所にて道路位置指定図を取得し、前面道路が「建築基準法第42条1項5号(位置指定道路)」であり、本来の指定幅員は「4.00m」であることを確認しました。現地にてメジャーで計測した結果、対象地側のブロック塀が道路内に約1m越境していることが現況3mの原因と判明しました。古家解体時にブロック塀を撤去・後退(復元)させれば、有効宅地面積(63.52平米)を減らすことなく再建築可能であることが確定しました。

調査結果2(私道持分の確認)

当該物件の登記簿謄本の「共同担保目録」に、前面私道(1083番1)の記載を発見しました。直ちに私道部分の登記簿謄本を取得し、売主が現在も私道持分を所有していることを確定させました。これにより、私道で最大の障壁となる「インフラ引き込み時の他者からの掘削承諾」のリスクが極めて低くなり、金融機関の住宅ローン審査も通る安全な土地であることが裏付けられました。また、私道の謄本に「ケイアイスター不動産」等の建売業者の名前があったことから、当該私道エリアでの建売実績がある(=業者が買いやすい)ことも判明しました。

本事例の結論

初期段階では再建築不可の疑いがありましたが、的確な書類収集と現地調査により「1,300万円以上で十分に勝負できる優良物件」へと評価が覆りました。自社買取・業者卸しも視野に入れ、早急に売主から専任媒介契約を取得する方針となりました。